有袋類とは母親のお腹に胎盤がないため子宮内で胎児を大きく育てることができません。

ですので、未熟な状態で子どもを出産し育児嚢(お腹のポケット)で育てます。

育児嚢は通常腹部にある袋で、中には乳首があり子どもはこれをくわえて母乳を飲みます。

オーストラリア大陸は他の大陸と比較すると種の発展方法に特異性があるといっても良いでしょう。

コアラやカンガルーで有名な有袋類は約140種が生息しているのですが、そのうちコアラ・カンガルー・ウォンバット・タスマニアデビルの4種をご紹介します。

最後はタスマニアデビルです。

タスマニアデビル

名前の由来

口から発する声に由来します。最初のヨーロッパ人の入植者は、ブッシュ(森)の奥深くからこの世のものとは思えない、身の毛がよだつ叫び声とうなり声を聞き始めたとき、自分たちが荒野で悪魔に取り囲まれていることを想像しました。

そのために、タスマニアの「悪魔」デビルと呼ばれています。

一般的に戦いを好まず、奇妙な音(咳、うなり声、鼻を鳴らす、鼻をすする、金切り声、さらにはくしゃみ)をたくさん出して、動物を怖がらせて追い払い戦いを避けます。

有袋類

コアラ・ウォンバットと同じく、お腹の袋は下に開きます。

穴を堀る習性があるため、育児嚢に砂が入り込まないよう進化しました。

金属をもかみ砕く強い顎

世界の哺乳類の中で最強の噛む力を持っています。

特大の頭により、顎を80度まで開くことができ、その顎は骨を粉砕するのに十分な力を発揮します。家畜や他の動物のケージを壊すことさえ簡単にできます。

欠伸をするタスマニアデビル

歯は上下合わせて42本あり、獲物を狩るのに1番重要な役割を果たしている上顎の犬歯は生涯継続して成長を続けます。

手足にも鋭い爪がありますが、これは獲物を狩るためではなく巣穴を作るために土を掘ったり、木によじ登ったりする時に使うものです。

森のお掃除屋さん

死体を食べるタスマニアデビル
Tasmanian devils, Sarcophilus harrisii, hunting prey in Tasmania on grass. Tasmanian devils is a Australian marsupials and icon of Tasmania.

かわいいニックネームですが、やっている行動は非常に恐ろしいです!

お落ちている動物の死骸は腐っていることが多いのですが、タスマニアデビルはお構いなしに食べる習性があります。

このことが地域を衛生的に保ち、クロバエのウジが湧かないように役立っているのです。

少し奇異な食習慣

食事は狩りよりも死んでいる動物の肉を食べます。そして死体の中で眠ることもあります。

食いしん坊なので食べ残しをしません。骨を細かく砕き食べることもあります。

残さず食べきるまでには時間がかかるでしょうから、途中で眠ってしまうのかもしれません。

人の感情としては死体の隣で眠るのは、とても恐ろしく感じてしまいますね。

全身の特徴

体に対して頭が大きく顔(頭部)の重さが体重の4分の1ほどを占めます。

ヒトの頭は体重の約10%なので、その倍以上重たい計算になります。

尾が太いのは健康の証

他の有袋類動物と同じく、尻尾に脂肪を蓄えることができます。特にふっくらした尻尾はタスマニアデビルの特徴と言えます。

出産と育児

乳を吸うタスマニアンデビルの赤ちゃん

母親のタスマニアン・デビルは、一度に20~40匹前後の子どもを産みますが母親は4つの乳首しか持っていません。

母親の袋に居場所を見つけた子どものみが、袋の中でおよそ3か月間住みます。

生まれたばかりの子どもは体重0.2g程度で、目は閉じていて、体毛も生えていません。生後7週ほどで全長7cm程に育ち、15週目頃には目が開き、毛も生えてきます。

残りの子供たちは、厳しい自然環境の中ですので大人のタスマニアン・デビルは、子どもを食すこともあります。

死因No1はがん(悪性腫瘍)

悪性腫瘍を患ったタスマニアデビル

デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)というめずらしい接触伝染性のガンです。

発病すると頭や口元に大きなこぶ(腫瘍)ができ、口から食べ物を食べることができなくなってしまうのです。そのため感染すると、餓死(がし)してしまう恐ろしい病気なのです。

これによりタスマニアデビルは一時期14万匹から2万匹まで数が減り、絶滅の危機まで追いこまれてしまいましたが、最近の調査では、DFTDに対しての抗体(こうたい)を持った個体が現れたそうです。

遺伝子に変化が生じ新たな種が生まれたのかもしれません。

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