有袋類とは母親のお腹に胎盤がないため子宮内で胎児を大きく育てることができません。
ですので、未熟な状態で子どもを出産し育児嚢(お腹のポケット)で育てます。
育児嚢は通常腹部にある袋で、中には乳首があり子どもはこれをくわえて母乳を飲みます。
オーストラリア大陸は他の大陸と比較すると種の発展方法に特異性があるといっても良いでしょう。
コアラやカンガルーで有名な有袋類は約140種が生息しているのですが、そのうちコアラ・カンガルー・ウォンバット・タスマニアデビルの4種をご紹介します。
今回はカンガルーです。
カンガルー
名前の語源
カンガルーという名前の語源は、イギリスのクック船長がオーストラリアに上陸した際、現地のアボリジニ達にカンガルーのことを聞いたところ、アボリジニ達が「gangurru(ガングルー=飛び跳ねるもの)」と答えた、というところからきているそうです。
筋肉質な身体
最も大きい有袋動物のカンガルーですが、体脂肪率は4%程度と言われています。
大きな後ろ肢は跳躍力に優れていて、最大8mは飛ぶそうです。(人類の幅跳び世界記録は8m95)
移動する際の速さはなんと時速50km以上。
長くて太い尾は、移動をする際や直立姿勢の際にバランスをとるのに使っています。
カンガルーボクシング
オスが繁殖期にみせるのが「ボクシング」と呼ばれる行動です。
まず肢を硬直させた歩行で敵前へ進み、体をかいたり、舐めたりという仕草で挑発します。
その後まっすぐ立ち上がって前肢を組み合わせ、尾を支柱にして後ろあしで強烈な蹴りをくり出し、相手を地面へ倒すのです。
この闘いはメスを奪い合うほか、獲物や休息場所をめぐっておこなわれることもあり、縄張りそのものを守るためではないと考えられています。
ただ実際の性格は戦いを好まず、とても臆病で、天敵が近づくと尾を地面に打ち付けるなどして群れに危険を知らせ、全力疾走で逃げます。
泳ぐことができる
カンガルーは意外と泳ぎがうまいので、捕食者に追われると水に向かって逃げることが多いです。
それだけではなく、カンガルーは胸まで水に浸かると、振り返って捕食者と対峙し、前足で捕食者を掴んで溺れさせることがあります。
赤ちゃんのたくましさ
36日間の妊娠期間を経て誕生する赤ちゃんは、体長約2cm、体重約0.8gと超未熟児で生まれてきます。
しかし生まれたばかりの彼らは、お母さんの体をよじ登り、自らお腹の袋に入るのです。
その時母親は子供が移動しやすいように、袋までの道筋をなめて道を作ってあげるそうです。
袋の中でおっぱいを見つけると、1~2ヶ月間は乳頭に吸い付いたまま成長します。
生後10ヶ月が経ち体重が5kgほどになると、袋では運べなくなるため袋の外で生活を始めます。
左利きが多い
最近の研究によって、カンガルーにも利き手があることが判明しました。
グルーミングや食事などの作業の際、約95%で左手を使っていることが研究観察でわかりました。
カンガルーとワラビーの関係性
具体的に「◯◯cm以上ならカンガルー」という決まりはありません。
体が大きい種がカンガルー、小さい種がワラビーと呼ばれています。そして、カンガルーとワラビーの中間の大きさはワラルーと呼ばれています。
カンガルー肉の流通
オーストラリアではカンガルーのことをルーと親しみを込めて呼びます。
そしてルーミートを食用として販売しています。
肉はタンパク質が多くて脂肪分が少なく、非常にヘルシーな赤身肉です。
ただ、独特の獣臭があり、焼き過ぎると固くなる性質もあるため、牛肉や豚肉と全く同じように扱うのは難しいようですが、現在はヨーロッパでの需要が増加しており年間約5000トンを輸出しています。
日本でも販売をしているようです。
価格:3,000円 |